2016年4月9日土曜日

プレートから よみとく シンオウの はじまり

原文(Pt, ミオとしょかん)

「プレートから よみとく
シンオウの はじまり」 
シンオウで はっけん される
ふるい プレートに きざまれた
うちゅう うまれるまえ
そのもの ひとり こきゅうする
うちゅう うまれしとき
その かけら プレートとする
プレートに あたえた ちから
たおした きょじんたちの ちから
そのもの じかん くうかんの 2ひき
ぶんしんとして よに はなつ
そのもの じかん くうかんを つなぐ
3ひきの ポケモンをも うみだす
2ひきに もの 3ひきに こころ
いのり うませ せかい かたちづくる
うまれてくる ポケモン
プレートの ちから わけあたえられる
プレート にぎりし もの
さまざまに へんかし ちからふるう


漢字かな交じり

「プレートから読み解く
シンオウの始まり」 
シンオウで発見される
古いプレートに刻まれた
宇宙生まれる前
そのものひとり呼吸する
宇宙生まれしとき
そのかけらプレートとする
プレートに与えた力
倒した巨人達の力
そのもの時間空間の2匹
分身として世に放つ
そのもの時間空間をつなぐ
3匹のポケモンをも生み出す
2匹にもの 3匹に心
祈り生ませ 世界形作る
生まれてくるポケモン
プレートの力分け与えられる
プレート握りしもの
様々に変化し力振るう

考察

そのもの=アルセウス。
巨人=レジギガス(?)。時間・空間の2匹=ディアルガ・パルキア。
時間・空間をつなぐ3匹のポケモン=ユクシー・エムリット・アグノム。

ちょっと分かりやすくしてみよう。

宇宙が生まれる前には、アルセウスしかいなかった。
宇宙が生まれたとき、アルセウスは宇宙の欠片をプレートにした。
そうして作られたプレートには、倒した巨人達の力を与えた。
アルセウスは、ディアルガとパルキアを自身の分身として生み出した。
また、時間と空間をつなぐためにユクシー・エムリット・アグノムも生み出した。
ディアルガ・パルキアによって「モノ」が生まれ、ユクシー・エムリット・アグノムによって「心」が生まれ、世界が形作られた。
この世界に生まれてくるポケモンには、プレートの力が分け与えられている。
プレートを持つものは、様々に変化して力を振るう。

以上のように解釈できると思う。

ノーマルタイプのプレートがないのにノーマルポケモンがいるのは、プレートが形作られる前に生まれたアルセウスがそうであったように、プレートの力が分け与えられていない状態がノーマルなのではないかと思われる。
宇宙開闢の時には、それぞれのタイプのレジギガスがいたのだろう。ノーマルタイプのレジギガスが倒されずに残されたのは、プレートが必要なかったからだろうか。


現実世界と比べて:

巨人を倒して今の世界が作られる、というのは世界各地の複数の神話に見られる構造である。
巨人の一部が後の世界の礎となるタイプの神話には、リグ・ヴェーダのプルシャや、北欧神話のユミルなどがある。

関連項目

→哲学者の男の話(ページ未作成)

はじまりのはなし

原文(DPt, ミオとしょかん)

「はじまりのはなし」 
はじめに あったのは
こんとんの うねり だけだった
すべてが まざりあい
ちゅうしんに たまごが あらわれた
こぼれおちた たまごより
さいしょの ものが うまれでた
さいしょの ものは
ふたつの ぶんしんを つくった
じかんが まわりはじめた
くうかんが ひろがりはじめた
さらに じぶんの からだから
みっつの いのちを うみだした
ふたつの ぶんしんが いのると
もの というものが うまれ
みっつの いのちが いのると
こころ というものが うまれた
せかいが つくりだされたので
さいしょのものは ねむりについた


漢字かな交じり

初まりの話 
初めにあったのは
混沌のうねりだけだった
全てが混ざり合い
中心に卵が現れた
零れ落ちた卵より
最初のものが生まれ出た
最初のものは
二つの分身を創った
時間が回り始めた
空間が広がり始めた
さらに自分の体から
三つの命を生み出した
二つの分身が祈ると
「物」と言うものが生まれ
三つの命が祈ると
「心」と言うものが生まれた
世界が創り出されたので
最初のものは眠りについた

考察

最初のもの=アルセウス。
二つの分身=ディアルガ・パルキア。
三つの命=ユクシー・エムリット・アグノム。
ギラティナはどうしたのか、と思えるが、シロナによると、ギラティナの神話は削除されてしまっているようだ。おそらく、ディアルガ・パルキアと同時に生まれたと思われる。
「混沌が自ら固まって最初のものが生まれる」という形式の創世神話には、『古事記』などの日本神話が該当する。また、最初の神々が「性別をもたず」「姿を隠してしまう」という点も同じである。古事記において天地開闢の際生まれ、性別がなく以降登場しない神は七柱であるが、ポケモン世界においても最初の神々は7匹だ。もしかしたら関係があるかもしれない。
また、「混沌のうねりの中心に卵が現れた」というのは宇宙を漂うガスが集まり、恒星や惑星が形作られる過程にも似ている。
シンオウ地方の神話、神々は神話的な創世記に加えて、科学的な宇宙の話を混ぜて作られているようだ。

関連項目

→ギラティナイベント(ページ未作成)
→哲学者の男の話(ページ未作成)
→シント遺跡イベント(ページ未作成)

2016年3月23日水曜日

おそろしい しんわ

原文(DPt, ミオとしょかん)

「おそろしい しんわ」 
そのポケモンの めを みたもの
いっしゅんにして きおくが なくなり
かえることが できなくなる
そのポケモンに ふれたもの
みっかにして かんじょうが なくなる
そのポケモンに きずを つけたもの
なのかにして うごけなくなり
なにもできなくなる

漢字かな交じり

恐ろしい神話 
そのポケモンの目を見た者
一瞬にして記憶がなくなり
帰ることができなくなる
そのポケモンに触れた者
三日にして感情がなくなる
そのポケモンに傷を付けた者
七日にして動けなくなり
何もできなくなる

考察

これは湖の三妖精をさすと思われる。ユクシーの目を見たものは記憶を失い、エムリットに触れれば感情がなくなり、アグノムに傷を付けると意思がなくなって動けなくなるのだろう。
それぞれのポケモンは、この神話のようになるのを避けているようだ。ユクシーは目を閉じている。エムリットは触れようとすると逃げ回る。そして、アグノムが「さわぐ」を覚えているのは、傷つけられるのを防ぐためかもしれない。

シンオウ むかしばなし その1,その2,その3

シンオウ昔話 その1

原文(DPt, ミオとしょかん)

「シンオウ むかしばなし その1」 
うみや かわで つかまえた
ポケモンを たべたあとの
ほねを きれいに きれいにして
ていねいに みずのなかに おくる
そうすると ポケモンは
ふたたび にくたいを つけて
このせかいに もどってくるのだ

漢字かな交じり

シンオウ昔話 その1
海や川で捕まえた
ポケモンを食べた後の
骨をきれいにきれいにして
丁寧に水の中に送る
そうするとポケモンは
再び肉体を付けて
この世界に戻ってくるのだ

考察

おそらく「おくりのいずみ」と「もどりのどうくつ」をさしていると思われる。おくりのいずみの途中までしかない橋からポケモンの骨を水の中に送り、骨は沈み、当時は湖の底であった「もどりのどうくつ」へ流れていく。そして、あの世と繋がるといわれる洞窟内で肉体を付けて戻ってくる。ギラティナの説明文にある「こだいのはか」とは、そこが死んだポケモンたちを流した場所であるからではないだろうか。

関連項目

→戻りの洞窟(記事未作成)

シンオウ昔話 その2

原文(DPt, ミオとしょかん)

「シンオウ むかしばなし その2」 
もりのなかで くらす
ポケモンが いた
もりのなかで ポケモンは かわを ぬぎ
ひとにもどっては ねむり
またポケモンの かわを まとい
むらに やってくるのだった

漢字かな交じり

シンオウ昔話 その2 
森の中で暮らす
ポケモンがいた
森の中でポケモンは皮を脱ぎ
人に戻っては眠り
またポケモンの皮をまとい
村にやって来るのだった

考察

スコットランドの「セルキー」の伝承と似ている。人魚の一種であるセルキーも皮を脱いで人間の姿になれた。次の「シンオウ昔話その3」のように、人と結婚することもあったという。

シンオウ昔話 その3

原文(DPt, ミオとしょかん)

「シンオウ むかしばなし その3」 
ひとと けっこんした ポケモンがいた
ポケモンと けっこんした ひとがいた
むかしは ひとも ポケモンも
おなじだったから ふつうのことだった

漢字かな交じり

シンオウ昔話 その3 
人と結婚したポケモンがいた
ポケモンと結婚した人がいた
昔は人もポケモンも
おなじだったから普通の事だった

考察

昔は人だったものがポケモンになった(と思われる)例としてケーシィ・ユンゲラーが挙げられる。この神話との関係性はそう高くないが、そういった説が図鑑に載るほどであることから、現代においても「ポケモンと人は近しいものである」と考えられていることが伺える。
現実世界と比べて:昔は動物と人間が同じものであったとする神話は北米インディアンなどに見られる。オジブウェ族によると、大精霊が動物たちを作り地上の支配権を与えたが、呪術によって動物の一部が人間になったという。
この「シンオウむかしばなし3」は、異類婚姻譚の一種だろうか。異類婚に関する神話は世界各国に見られるが、このように、人間と動物が同じものだったから普通に交わっていたという伝承はない気がする。シンオウ地方の文化的特異性だろうか。

参考文献

大林太良・伊藤清司・吉田敦彦・村松一男編『世界神話事典』角川選書

2016年3月22日火曜日

トバリのしんわ

原文(DPt, ミオとしょかん)

「トバリのしんわ」 
つるぎを てにいれた わかものがいた
それで たべものとなる ぽけもんを
むやみやたらと とらえまくった
あまったので すててしまった
つぎのとし なにもとれなかった
ぽけもんは すがたを みせなくなった
わかものは ながいたびの あと
ぽけもんを みつけだし たずねた
どうして すがたをかくすのか?
ぽけもんは しずかに こたえた
おまえが つるぎを ふるい
なかまを きずつけるなら
わたしたちは つめときばで
おまえの なかまを きずつけよう
ゆるせよ わたしのなかまたちを
まもるために だいじなことだ
わかものは さけんだ
おまえたち ぽけもんが いきていること
つるぎを もってから わすれていた
もうこんな やばんなことは しない
つるぎも いらない
だから ゆるしてほしい
わかものは つるぎを じめんに
たたきつけて おってみせた
ぽけもんは それを みると
どこかに きえていった

漢字かな交じり

トバリの神話 
剣を手に入れた若者がいた
それで食べ物となるポケモンを
むやみやたらと捕らえまくった
余ったので捨ててしまった
次の年何も捕れなかった
ポケモンは姿を見せなくなった
若者は長い旅の後
ポケモンを見つけ出し尋ねた
どうして姿を隠すのか?
ポケモンは静かに答えた
お前が剣を振るい
仲間を傷つけるなら
わたし達は爪と牙で
お前の仲間を傷つけよう
許せよわたしの仲間達を
護るために大事なことだ
若者は叫んだ
お前達ポケモンが生きていること
剣を持ってから忘れていた
もうこんな野蛮なことはしない
剣もいらない
だから許してほしい
若者は剣を地面に
叩きつけて折って見せた
ポケモンはそれを見ると
どこかに消えていった 

考察

これはポケモンと人との契約の神話と解釈できそうだ。人がポケモンに不利益をもたらすなら、ポケモンは人と共に暮らすのをやめる。人とポケモンが良好な関係を保ち続ける限り、ポケモンは人の元から離れない。

この神話でもうひとつ分かるかもしれないのは、ポケモン世界の人間が戦うときに武器を使うことがほとんど無く、代わりにポケモンを使う理由だ。この若者の行動で、相手を傷つける武器を人間は失ったと解釈することもできる。みたいなことがBulbapediaに書いてあった。以下、Bulbapediaの原文を引用。

The myth may be used to explain why most people in the Pokemon world use Pokemon instead of manufactured weaponry to fight.
"Sinnoh myths - Bulbapedia" Veilstone's Myth, Notes 

また、この神話で語られたような「武力を持った人間の元からポケモンが離れる」というストーリーは、イッシュ地方でも似たようなものが伝承されている。導の間で老人によって語られる、コバルオン・テラキオン・ビリジオンの話がそれだ。
そちらも考慮にいれると、この神話での若者は「戦をはじめた連中」を代表して1人の人間にまとめられた存在であると考えられる。

関連項目

導の間の老人の話(記事未作成)

2016年3月21日月曜日

シンオウのしんわ

原文(DPt, ミオとしょかん)

「シンオウのしんわ」 
3びきの ポケモンが いた
いきを とめたまま
みずうみを ふかく ふかく もぐり
くるしいのに ふかく ふかく もぐり
みずうみの そこから
だいじなものを とってくる
それが だいちを つくるための
ちからと なっている という

漢字かな交じり

3匹のポケモンがいた
息を止めたまま
湖を深く深く潜り
苦しいのに深く深く潜り
湖の底から
大事なものを取ってくる
それが大地を作るための
力となっているという

考察

この3匹のポケモンとは、当然ユクシー・エムリット・アグノムだ。そして湖とは、シンジ湖・リッシ湖・エイチ湖だ。
今は水位が下がり湖ではなくなったが、空中に浮いた桟橋が示すように、以前は送りの泉も湖だった。送りの泉に送られたポケモンは、その底にある戻りの洞窟で命を得て帰ってくる。シンジ湖・リッシ湖・エイチ湖、それぞれの湖の底も似たような力を持っているのかもしれない。
現在はギンガ団のせいで湖上にあるが、それぞれの湖の中心にある「空洞」はもともと湖の底にあったものだ。それらの空洞は、送りの泉における戻りの洞窟と同じような役割を持っていたのではないだろうか。大事なものとはつまり、それぞれの湖が名にし負う「真実」「立志」「叡智」ではないだろうか。

2016年3月15日火曜日

シンオウちほうの しんわ

原文(DPt, ミオとしょかん)

「シンオウちほうの しんわ」
むかし シンオウができたとき
ポケモンと ひとは
おたがいに ものを おくり
ものを おくられささえあっていた
そこで あるポケモンは
いつも ひとを たすけてやるため
ひとの まえに あらわれるよう
ほかの ポケモンに はなした
それからだ
ひとが くさむらに はいると
ポケモンが とびだすようになったのは

漢字かな交じり

シンオウ地方の神話 
昔 シンオウができた時
ポケモンと人は
お互いに物を送り
物を送られ支えあっていた
そこで あるポケモンは
いつも人を助けてやるため
人の前に現れるよう
ほかのポケモンに話した
それからだ
人が草むらに入ると
ポケモンが飛び出すようになったのは

考察

"ポケモンと人は" "支えあっていた"。"ポケモンはいつも人を助けてやるため" "人が草むらに入るとポケモンが飛び出すようになった"。
人間とポケモンの関係は対等で、支え合い助け合う関係にあるらしい。とは言え、これは人間側の記述であるため、人間がポケモンを利用するための都合のいい解釈である可能性も否めないが。

2016年3月14日月曜日

シンオウしんわ

原文 (DPt, ミオとしょかん)

「シンオウしんわ」
おこるな ?? がくるぞ
かなしむな ?? がちかづいてくるぞ
よろこぶこと たのしむこと
あたりまえの せいかつ
それが しあわせ
そうすれば ??? サマの
しゅくふくが ある
というのが くちぐせだ

 漢字かな交じり

怒るな??が来るぞ
悲しむな??が近づいて来るぞ
喜ぶ事 楽しむ事
当たり前の生活
それが幸せ
そうすれば???サマの
祝福がある
と言うのが口癖だ

考察

感情について語られているので、エムリットに関するものか。だが、情報が少なすぎてよくわからない。
喜怒哀楽のうち、怒・哀は"??"に、喜・楽は"???サマ"に属する感情らしい。?の数に意味はあるのだろうか? 英語版だと両方とも"???"と、クエスチョンマーク3つらしいので、数には意味が無い可能性がある。

「ポケモン神話研究所」発足によせて

こんにちは。刈薦真秀です。

過去にDPtに登場する神話についての考察をウェブサイトでやっていたのですが、HTMLなどをいじってページを更新する時間がなかなか取れなくなってしまったので、ブログに移行しようと思います。

タグによる分類や検索もできるので、以前より便利になるかもしれませんね。